自分の発言に死ぬほど後悔してる話
日本語には言霊という単語があります。
みなさんはその意味をご存知でしょうか。
「古代日本で、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力。発した言葉どおりの結果を現す力があるとされた。」―デジタル大辞泉より
本稿で述べたいのはただ一つ。「言霊は本当に存在する」、ということです。「口は災いの元」というのも、浅からずとも遠からずといったところでしょうか。
何にせよ、僕は今日この言霊に、自分の発言に苦しめられることになりました。
僕の大好きな作品でコードギアスという作品があるのですが、劇中で主人公のルルーシュはこう言います。
「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ。」
何年も前に、それも大好きなキャラクターに言われた言葉を、僕は今日まで正しく理解していなかったのです。自分の初恋の相手を中島由貴に重ねてる場合ではなかった。今はそう思います。
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戸松遥さんが結婚されました。本稿では恐れ多いながらも、いつも通りに「とまっちゃん」と呼ばせていただきます。
僕は彼女のファンです。
熱心なファンだったか、と聞かれると言葉に詰まります。
彼女のラジオ番組であるココハルはもう何年も聞けていません。
彼女が出演している作品を全て見てきたわけでもありません。
それでも、僕は確かに彼女のファンでした。
彼女のファンになったのはガンダムUCのミコット・バーチの声を聴いた時でした。
主人公の幼馴染であり、シリーズ全体を通せばそこまで出番が多いわけではなった彼女ミコット。
ですが、その「声」に僕は一瞬で魅了されました。
当時、僕はアニメや声優さんに興味を持ち始めたばかりで、慌ててその声優さんを調べました。
これが僕がとまっちゃんを初めて知った瞬間でした。
それからしばらくして、ある友人が僕にある作品を勧めてくれました。
漫画が原作でしたが、彼は漫画と共にそのアニメも熱心に布教してきました。
渋っていた僕でしたが、彼が一言こう言いました。
友人「ヒロイン、声優さんが戸松遥だよ!」
僕「はぁ~・・・。見ます。」
その作品こそ、僕の心の中に燦然と煌めき続けている「ToLoveる」でした。
彼女が演じるララ・サタリン・デビルークに、文字通り僕は心を奪われました。
ララというキャラクターが持つ魅力はもちろん、彼女の「声」がなによりも尊かった。
元気いっぱいで、甘いながらも繊細な声。その若々しさと、話が進むにつれて少しずつ役者として成長していくとまっちゃんがこれでもか、というほど伝わってきたのです。
死ぬ間際には、第一期24話「はじらいながら」を見てから逝くと心に決めています。
僕は本当にこの作品が大好きなのです。
その後、彼女がアーテイストとしても活躍をしていることを知りました。
スフィアを知ったのもこの頃です。
さて、当時中学生でお金もなかった僕は、一枚1500円のCDを買うことに相当のためらいがありました。それまで好きになったアーティストも、それが原因でCDをレンタルすることで済ませ、CDを買ったことがなかったのです。
ちょうどその時、とまっちゃんがニューシングルを出すことが告知されました。
のどから手が出るほど買いたい。しかし、買ってしまえば他に何もほしいものが買えなくなる。
僕は当時とても悩みました。
家に声優さんのCDを置いておき、それが親に見られると恥ずかしいということもありました。
諦めようかと思いながら、その年の四月に始まったココハルを聞いていると、その新曲が流れ始めました。
ラジオでの告知で流される、たった一分強の時間。
この時間が僕を変えてくれました。
この曲を買わないわけにはいかない、何をかなぐり捨てても買うしかない。
こうして、2013年7月10日。僕は人生で初めてCDを買いました。
タイトルは「PACHI PACHI PARTY」。
今でも僕の大好きな曲です。
そこからは僕は彼女自身の活動以外にもスフィアにも興味を持ちました。
人生で初めて行ったライブも、彼女たちのライブです。
『Ready steady 5 周年 in 日本武道館』の二日目。
ドキドキしながら足を踏み入れた武道館。
このライブもまた、僕の人生を大きく変えてくれました。
ソロコーナー、トリを務めたとまっちゃん。
曲を歌おうとした直前でみなちゃんがステージに乱入、サプライズのケーキとみんなのハッピーバースデーの合唱。
みんなが温かい気持ちになったところで、彼女はスタンバイを完了させ―
「Q&Aリサイタル!!!」
その一言と共に、爆発したあの武道館の光景を僕は一生忘れないでしょう。
あれから五年が経とうとしています。
当初からすれば、失礼な言い方になりますが、その熱は幾分か冷めてしまったのだと思います。いや、思っていました。
最近は嬉しいことに女性声優さんのご結婚や出産などのおめでたいニュースが続き、それに一喜一憂しているオタクをからかいながら軽口を言うような、そんな軽いオタクになってしまいました。
特にSNSでの発言は目も当てられない有様です。
繰り返すようですが、中島由貴を初恋の相手に空見してる場合じゃないんです。
一番反省すべきことは、オタクであることの楽しさと後ろめたさを両方抱え、自分からオタクから足を洗うことが出来なかった自分が、あろうことかその弱さからこんな発言を繰り返していたことです。
「とまっちゃんが結婚すれば、俺はオタクやめるからwww」
加えて先日、というか昨日、僕はこのようなツイートをしました。
「俺の推しは今年中に結婚報告してくれないとマズイ。俺の社会進出がかかってる。なあ遥。オタクなままじゃ無理なんだよ。早くお前も結婚してくれ。」
深夜二時前に、僕はこんな愚かな、そして大変失礼な呟きをしたのです。
13時間後、僕のアカウントには「予言者!」「これでオタク引退だ!」というリプが溢れ、LINEでも数多の人々から「と、戸松遥!結婚したぞ!!!」という報告が。
暇か!?
さて。
正直に僕はとまっちゃんが結婚したことが本当にうれしいのです。
今まで辛かった時、彼女の演技に、歌に、声に僕は救われてきたのです。
僕にとっての恩人が幸せになるのです。
誰にそれを笑わせましょうか。
僕が何よりも憤りを感じているのは自分自身です。
自分の弱さを彼女に転嫁し、それをネタにしていたのです。
俗にいうガチ恋オタクではない僕は、今回の結婚報告に微塵も悔しさも悲しみもないのです。
それでも、この心にぽっかりと穴が空いてしまったことは事実なのです。
これがなんなのかわからない。
ただ、これを書いている際に答えが浮かびました。
僕が中学生のころから、ずっと変わらずに拠り所となっていた彼女が人生を順調に歩む一方で、自分に何も成長が見られないのが怖いのです。
置いてけぼりを食らったような感じなのだと思います。
いや!?!?!?!?!他人に何を感じてるんだ自分!?!?!?!
すさまじく自分が気持ち悪い。
ただ、個人的にこの喪失感が分かったのですっきりはしました。
人間的に成長しなければなりません。
何はともあれ、こんな僕みたく「その発言が実際に起こった時に、自分がどうなるか」ってシュミレーションも全くせずに、適当な発言をしてると、いつかは痛い目を見るってことです。
言霊はあります。今回それを痛感しました。
これから毎日彼女が出来たって妄想を口に出していこうと強く強く思います。
オタクは引退するんですかって質問に対してですが、とまっちゃんのRUNって曲にこんな歌詞があります。
「100年たったくらいじゃこの夢は醒めないよ」
100年はわからんけど、飽きたらやめます。
SNSの使い方はもうちょっと考えます。
せーじん